対人不安や恐怖・視線を軽減する方法 -意識を逸らす-

行動療法の一つに拮抗動作法というものがある。拮抗とは、「勢力などがほぼ同等のもの どうしが、互いに張り合って優劣のないこと」の意味である。イメージしやすい例は、次のような ものだ。「高いところが苦手な人が、高いところで、指相撲で遊んでいるうちにその遊びに夢中に なり、高いところが怖いことを忘れてしまう」。

私なんかは、20代前半の頃、とても何かに夢中になっているときは、あまり対人的な不安や視線のことを気になら ないということが分かり、それからというもの、常に夢中になることを探していた時期がありました。 例えば、電車で座った時に、向かいに座っている人が気になることはないですか? 向かいに座って いる人たちが、皆眠っているとか新聞や本を読んでいるなら、こちらを向いていないので、気にならない。 でも、向かいに座っている人たちと視線があったり、何もしないでぼんやりこちらを向いている場合、 とても気になりませんか? 私は、今ではさほど気にならないのですが、以前はかなり気になってました。でも、もし自分がすごく 面白い本を読んでいたら、向かいの人たちのことが全く気にならないという経験はないですか? 私はあります。簡単にいうと、拮抗動作というのは、このようなものです。

じゃあ、具体的にどうすればいいの?ということなんですが、例えば、緊張しそうな場面に出くわす 際に、左手を軽く握ることを繰り返してみる、そして少し意識をそこに向けてみる、10回カウント してみる、そんなことをしてみるわけです。人間の意識は、2つ以上のことに意識を向けられません。 「緊張すること」と「左手を握ること」に、人間は同時に意識を向けられないのです。

対人的な不安や恐怖は、これまで蓄積されてきた緊張する場面に自動的に潜在意識が反応し、意識が反応します。 何もせずにいると、どうしても緊張する方向に意識が向かってしまいます。緊張しそうだと感じたら、 拮抗する動作をしてみてください。そうすると、緊張する意識が軽減すると思います。

動作については、あまり大げさな動作をしてしまうと、これ変な人に思われないかなと、逆に緊張 を高めないようにしてくださいね(笑)。ちなみに私は、利き手とは逆の指で1,2,3,4とカウント したり、指同志を順番に触ったりします。ぜひ、試してみてくださいね。